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アメリカでの起業は難しくない!
投資家が殺到するビジネスプランと日本人起業家像
今回のポイント
- 日本での資金調達が困難でもアメリカで可能な場合がある
- 客観的・具体的な事業計画をアメリカ人投資家は評価する
- アメリカ人投資家を魅了する起業家像へ向け努力しよう
26歳のフリーター、岩下秀樹さん(仮名)は、映画製作用ソフト開発・製造の会社を起こそうと、3ヵ月間駆けずり回り、親・親戚・友人から650万円の資金を集めた。ところが、優秀なスタッフを確保し、最新のコンピュータ設備を整えると、資金はすぐに底をついてしまった。
岩下さんは悩んだ末、追加資金を一般投資家から募ろうとする。だが、製品の完成度が低く、事業化へのリスクが高すぎることから、資金はまったく集まらない。
映画製作用ソフトの市場規模は、アメリカが日本の50倍以上であることから、アメリカのほうが製品を高く評価してくれるのではないかと、岩下さんは期待を抱く。そこでさっそく事業計画書(ビジネスプラン)を英訳し、アメリカでの資金調達に挑戦することにした。
とりあえず1000ドル(約12万円)でぺーパー・カンパ二ーをカリフォルニア州に設立。その際に世話になった地元弁護士、会計士、コンサルタントの紹介で、映画製作の本場、ハリウッドとニューヨークにあるべンチャーキャピタル9社に接触し、そのうち2社から計250万ドル(約3億円)の出資を得ることに成功した。
「なぜ、見ず知らずの若い日本人に、いきなり出資すると決めてくれたのだろう?」。岩下さんは、うれしさの反面、不安をも抱く。そのべンチャーキャピタル二社の担当者は、口を揃えて同じ説明を彼にしたという。
「市場分析、競合製品との比較(長所・短所)、販売戦略・方法等が、客観的データに裏づけられ、きわめて現実的・保守的なビジネスプランだ。この種のプランは、業界や製品のことが相当分かっていないと作れない」と。
確かに、起業コンサルタントとして、日ごろから日米でさまざまなビジネスプランを見ていると、たまに市場や製品に関する知識・情報の深さに驚かされるものに出会う。過去を振り返ってみると、そういったビジネスプランへのアメリカ人投資家の出資率は非常に高い。
一方、ほとんどのビジネスプランは、自己の製品・サービスに酔いしれ、該当する市場規模の調査、競合製品・サービスに対する優劣性、販売戦略・方法に関する具体的・客観的な分析や説明に欠けている。
つまり、そのようなビジネスプランを読んでいると「私の開発した製品・サービスは、優れているので売れて当たり前。この製品・サービスが売れないのは、買い手に見る目がないからだ」とでも言わんばかりの傲慢さが感じられる。そんな自己中心的なビジネスプランでは、いくらリスクをとるアメリカ人投資家でも相手にする訳がない。
そこで今まで見てきたことをベースに、アメリカ人投資家が殺到するビジネスプランとその起業家像を、私なりに描き出してみることにする。
まず、アメリカ人投資家にとって魅力的なビジネスプランとは、すでに触れたとおり、市場、競合製品・サービス、販売戦略・方法が具体的かつ客観的に説明されているものをいう。そして、事業が急成長し、起業して三〜五年後には、売り上げ5000万〜1億ドルに達し、純利益はその10%になることが投資の目安になっている。
また、業界や製品・サービスに関する豊富な知識や経験を有する経営陣が起業する場合も投資家からの支援を得やすい。そのような経営陣がビジネスプランを作ると、業界や製品・サービスを知り尽くしているので、きわめて説得力のあるものとなる。
アメリカ人投資家を引き付けたいのなら、ビジネスプランには、経営陣一人一人の細かい紹介、特に各人が事業に対してどのような貢献をするのかの説明を必ず入れよう。
また、アメリカ人投資家を魅了する日本人起業家とはどんな人なのだろうか。理想を言えば、次の12点を備えている人だと私は思う。
(1)事業運営において、強力なリーダーシップがとれること。(2)論理的・客観的・現実的な思考を、計画や意思決定の上で徹底できること。(3)失敗(できれば起業する業界での)経験があり、それを十分に生かしていること。(4)公平で正直なこと。(5)投資家の立場(株主利益の最優先)で経宮できること。(6)絶えず顧客や販売を研究していること。(7)緻密な事業計画が立てられること。(8)説得カがあること。(9)自己管理・時間管理ができること。(10)セールスマンシップに長けていること。(11)コミュ二ケーションがオープンであること。(12)自ら会社や製品・サービスについての効果的なプレゼンテーションができること(英語ができない場合は、通訳をつけて)。
今アメリカ人投資家から支援を受け、活躍している日本人起業家を見てみると、ほとんどの人は、やはりこれらの資質・能方を備えている。アメリカでの資金調達を考えるならば、今からでも遅くないので、これらの能力を身につけるよう努カされたい。
次回は、たとえ英語力や経験がなくても、アメリカでの起業をあきらめてしまうのは早いことを、実例を紹介しながら説明したい。
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