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アメリカでの起業は難しくない!
専門能力なし、英語力なしでもチャンスはある!
今回のポイント
- 板前やシェフとして働けば永住権を獲得しやすい
- アメリカ人は起業家の挑戦を高く評価し、支援してくれる
- 本人にやる気と体力さえあればそのほかは工夫と努力で補える
サラリーマン生活に飽き飽きした二八歳の田中宏さん(仮名)は、思い切って会社を辞め起業することにした。学生時代からアメリカンドリームに憧れていた彼は、その実現のためアメリカでの起案を一大決心する。
思い立ったらすぐにアクションを起こさないと気が済まない田中さんは、まわりの反対を押し切って、即、会社を辞め、わずかな退職金を手にさっさとアメリカに渡ってしまった。たった一人の知人を頼りにアメリカに来たのはよいが、肝心の知人は消息不明。
そこで急遽、安いという理由でスラム街にあるアパートを借り、近所の本屋にあった地元コミュニティー誌の求人広告欄で日本食レストランの皿洗いのアルバイトを見つけ、そこで働きながら起業に備えることにした。
しかし、事業を起こそうにも合法的に滞在できるビザもなければ、ビジネスの知識や英語カもないので話にならない。そこで特殊技能者として永住権を取得できる「板前という立場で、そのレストランで働かせてもらいながら、安い授業料で英語を教えてくれる近所のコミュニティー・カレッジに通うことにした。
それから四年、無事永住権を取得することができた(ちなみに、準備なしで渡米した、特に専門能力を持たない日本人が永住権を取得するいちばん確実な方法は、板前やシェフとしてレストランで働かせてもらうことだ。筆者の知人やクライアントにも、この方法で永住権を取得した人はかなり多い)。田中さんは、その四年間の必死の努力により、英語カもかなりつけたうえ、並々ならぬ倹約を続けた結果、10万ドル近くの資金も貯めた。
そうして、レストランを辞めて三ヵ月の間に150以上のビジネスを検討し、手づくり弁当を売り物とする日本的なコンビ二エンスストアを始めることにした。開業資金として10万ドルでは足りなかったので、板前時代から懇意にしてくれていた客や知人のアメリカ人に事業計画を話し、出資を募った。
その甲斐あって九人から合計40万ドルを集めることができた。そのほとんどが新しいことに挑戦する田中さんを高く評価し、細かい事業計画を聞くことなしに、二つ返事で出資してくれたという。このときほど、アメリカ人の「開拓者精神」の崇高さを実感したことはなかったと、田中さんは後でしみじみ語ってくれた。
「低脂肪で健康によい手づくり食品」というキャッチフレーズが、マクドナルドなどのファストフードに満足できない「べビーブーマー」のアメリカ人に受け、一号店はコンビ二というより、ホーム・ミール・リプレイスメント(HMR)の店として大繁盛した。
今はチェーン化へのシステム開発と、夢だったNASDAQ(米店頭株式市場)での株式公開を実現させるため、長期事業計画づくりで、べンチャーキャピタルや証券会社等との打ち台わせに、忙しい毎日を送っている。
準備なしでアメリカに渡って成功している日本人起業家は、田中さんだけではない。そうした人たちは、年々増える傾向にある。
彼らの共通点は、あまりくよくよ考え込まず、まず行動していることだ。理想をいえば、渡米する前に十分な資金を集め、英語カやビジネス知識もある程度備えておくことが大事だ。だが、起業でもっと大事なのは、やる気があるうちに体験しながら学んでいくことだ。つまり、実戦を通じて必要な力をつけていくこと。
もし、飽きっぽい性格の田中さんが、十分な準備が整うまで渡米を延ばしていたとしたら、どうなっていただろうか。彼をよく知る人たちからの答えは、「渡米するまでに五年はかかり、起業への興味とバイタリティーが半減していたのではないか」というものだ。
日本人起業家がアメリカで成功するために必要なものは、大きく分けて少なくとも五つあると思う。それらを簡単に紹介すると以下のようになる。
(1)異国の地でのストレスやハードワークにも屈しない強靭な精神カと体カ。(2)アメリカでの生活費を含めた長期的資金カ。(3)アメリカでのビジネス知識・経験。(4)英語力を含めた、総合的コミュ二ケーション能力。(5)地域や業界での人脈。
これらのうち、(1)以外は渡米してからでもなんとかなるものだ。最悪の場合でも、そのような能力を持った人と組めばよい。だが、(1)だけは渡米後にどうにかなるものではない。田中さんがいきなり準備なしで渡米し成功できたのも、(1)の強靭な精神カと体カがあったからだ。
私自身もアメリカでの起業体験を持っているが、すべての根底にあるものは、気力であり、やる気だと断言したい。気カ・やる気さえあれば、それ以外は努力と工夫次第で補っていける。
逆に「あきらめないでやる気を出して挑戦し続ければ、道は開かれ、最終的にアメリカでは必ず成功できる」というのが私の持論でもある。万が一失敗しても、「敗者復活」が許されるのがアメリカだ。ぜひ勇気を持って試してみてほしい。
次回は、アメリカ人投資家が殺到するビジネスプランと起業家像について、実例を通して紹介したい。
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