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アメリカでの起業は難しくない!
ビザ・事業形態をスタート時点で戦略的に選択する
今回のポイント
- 主に3つのビザの中から事業計画に最適なものを選ぶ
- 不慣れな弁護士もいるので評判などを慎重にチェックする
- 事業形態には主に5つあるが株式会社設立も難しくはない
アメリカで日本料理店の多店舗展開を夢見ていた上村友子さん(仮名)は、大学の家政科を卒業後、大手外食企業に就職する。資金を稼ぐため夜は高級クラブ、土日はデパートの食品売場でアルバイト。その甲斐あって、4年間で500万円近い資金を貯めた。さらに、親戚、友人・知人に事業計画を熱心に訴え、自己資金以外に合計3700万円を集めた。
ところが、いざ渡米準備に入ったとき、ビザが取れないと専門弁護士から言われ、がく然とする。今更後へは引けない。ビザなしで渡米し、現地で情報収集をしながら対策を練ることにした。
友人の紹介で彼女が私の米国事務所に訪ねて来たのは、渡米1ヶ月後だった。「違法滞在者になっても、アメリカで起業し成功させたい」と言い切る彼女は、とても26歳の日本人女性とは信じがたい迫力だった。「この人なら、食うや食わずでもアメリカで事業に挑戦しつづけるだろう」と直感した私は、彼女の起業を全面的に支援することにした。そして、まず次の方法で労働ビザを取得することをアドバイスした。
親友の父親が日本で飲食店を3店舗経営しているというので、その会社の子会社をアメリカに設立させ、上村さんをその子会社の経営者としてL−1Aビザでアメリカに派遣してもらう。もちろん、米国法人設立の費用は全て上村さんの負担だ。上村さんはすぐに一事帰国し、この方法で米国法人を設立した後、無事L−1Aビザを取得し、アメリカに戻ってきた。それから6年後、彼女は永住件も取得し、今では4店舗がいずれも超繁盛店だ。現在はNASDAQでの株式公開を目指し、計画を練り始めている。
日本人のほとんどはビザの戦略的取得方法を知らない。またビザ専門弁護士には、取得できなかった場合の評判を恐れ、事業計画に合わせたビザではなく、確実に取得できるビザを薦める人もいる。彼らは移民法、労働法などの関連法規の観点のみから判断することが多く、事業計画を理解した上で、最適なビザ取得のために親身に支援してくれる弁護士は本当に少ない。
よくある弁護士とのトラブルは、依頼者に対し明快な説明をせず、依頼者からの了承も得ないまま、勝手に特定のビザが最適だと決めつけ、申請してしまうことだ。弁護士選びは、評判をよくチェックするなど慎重にしよう。
アメリカで起業する日本人が利用できるビザは主に次の3つになる。
1つは、仮にアメリカ人を米国法人のオーナーにし、専門分野のプロとしてのH−1Bビザを得て、永住権を取得する方法。H−1Bは、大学新卒でも取得できる。ビザ有効期間は4年で、最長合計6年まで延長できる。
2つめは、上村さんの例のように日本の会社の関連会社をアメリカに作り、そこに管理職(L−1Aビザ)または専門技術者(L−1Bビザ)として派遣してもらう方法だ。このLビザの場合、最初のビザ有効期間は3年で、L−1Aは最長合計7年まで、L−1Bは最長合計5年まで延長できる。
3つめは、Eビザで、取締役を対象としたE−1と投資家対象のE−2ビザがある。E−1の場合、輸出入に従事する会社の社員がアメリカの子会社で働くときに発給されるが、以下の3つの条件を満たさなければならない。
(1)派遣されるアメリカの子会社株の50%以上を日本人が保有していること。(2)貿易量の50%以上が日米間であること。(3)申請時点で貿易活動が継続していること。
E−2ビザを取得するには、日本国籍の個人、又は法人がアメリカの関連会社の株を50%以上所有していることが条件になっている。Eビザは発行後5年間有効で何度でも延長できるが、アメリカに入国する際に許可される滞在期間は1年だけなので、1年以上滞在する場合は、移民局に延長願いを出すか、1度出国し再入国する。
また最低100万jを事業に投資し、10人以上のアメリカ市民を雇用することで、ビザ取得を飛び越えていきなり永住権を所得する方法もある。
永住権をもっていない場合には、ビザ取得・維持のため、事業形態に関してあまり選択の余地はない。事業形態を大別すると次の5つになる。
(1)事業の収入や支出は個人のものと見なされ、個人所得税申告書で清算する「個人経営」。(2)現地情報収集のために利用される「駐在員事務所」。(3)事業を行う州の長官から許可を得なければならない「支店」。(4)利益追求の「パートナーシップ」。(5)各州の法律に従って運営される「株式会社」。
アメリカで起業する日本人は、ビザを取得・維持するため、まず受け皿として株式会社(米国法人)を設立する必要がある。株式会社といっても、最低資本金は1000j(約12万円)程度だ。会社設立は、発起人が設立定款を作成し、州務長官に届け出、当局が受理したときに成立する。株式の引き受けや払いこみは必要ない。定款の作成もパターン化していて、簡単だ。
次回は、準備なしで渡米せざるを得なくても、成功のチャンスが十分にあることを実例を通してみてみよう。
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