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アメリカでの起業は難しくない!
日本人起業家がアメリカで成功する五つの絶対条件
今回のポイント
- あらゆる機会をとらえて、英語力や交渉術を身に着ける
- 自分の短所を補ってくれるアメリカ人パートナーと組む
- 見えを張らず、経費節減に努める姿勢が評価される
国際的なビジネスマンになることを夢見ていた秋田栄一さん(仮名)。高校三年生の夏休みに米国でのホームステイを経験し、それまで苦手だった英語も身近なコミュニケーション手段と感じるようになっていた。日本での大学受験に失敗した秋田さんは、米国への語学留学を考えたが、旅費もなかったため、新聞配達、喫茶店のウェーターなどさまざまなアルバイトを一年半続け、二百万円近く貯めて渡米した。
州立大学付属の語学コースで半年間必死に勉強した結果、大学への編入が許され、キャンパス内のカフェテリアでの皿洗いなどさまざまなアルバイトをして、無事情報管理学部を卒業した。
卒業後、日系中堅商社に就職し、働きぶりが認められ、入社後二年でマネージャー、四年でディレクターという異例のスピード昇進をする。さらに四年後には会社が費用を全額負担して永住権を取得することができた。
入社後、秋田さんの中で、将来米国でコンピュータ関連会社を起業したいとの夢が膨らむ。そのため会社経営を勉強する目的で、人の嫌がることや難しい仕事でも、積極的に自分から引き受けた。また、外部のアメリカ人との商談でも、主に通訳としてだが、交渉チームに入れてもらい、取引のポイントや交渉術も学んでいった。
入社十二年めに、突然会社から副社長就任要請があったのを機に彼は退職し、念願のソフト開発・コンサルティング会社を起こす決意をする。もし重職を引き受ければ、次の数年間独立が難しくなると判断したからだ。
十五万ドルの自己資金では足りなかったので、持っていた二十枚近いクレジットカードで二十五万ドルを借りこみ、必要な資金四十万ドルを揃え、コンピュータ会社を設立した。売り上げの見込みが立つまで、自宅を事務所にして経費を抑えることにした。
しかし、最初の一年半近くは、まったくクライアントはなく、無収入状態だった。
もともと秋田さんは営業が大の苦手だった。独立一年前に結婚していた妻が、切実な経済不安から、再就職をするようにと秋田さんに泣きながら訴えるありさまだった。
それでも秋田さんはあきらめなかった。起業や経営に関するいろいろな本や雑誌を読みあさり、経営者や会計士の知人などに相談し続けた。ある雑誌で「起業術」に関する私の連載を読んで、相談にきた彼に私は、営業が得意なパートナーを探すようアドバイスした。
たまたま前の会社で営業担当副社長をしていた有能なアメリカ人、トム・ワンダーさん(仮名)が、起業を計画していたと知り、早速ワンダーさんを説得しパートナーシップを組むことになった。ワンダーさんの説得には時間がかからなかった。というのも、ワンダーさん自身営業力には自身があったが、取ってきた仕事をきちっとこなせる責任者が見つからなかったので、結局起業に踏み切れなかったからだ。
秋田さんは自分を最高経営責任者(CEO)に、ワンダーさんを最高執行責任者(COO)にして、会社を再出発させた。やはり「餅は餅屋」だ。ワンダーさんと組んで一ヶ月も経たないうちに、仕事がどんどん入ってくるようになった。
スピーディかつ丁寧なサービスを強みとする同社は、ワンダーさんを迎えて二年以上経つ今、従業員は三十人を超え、利益も出ているという。規模はまだ小さいがこのまま急成長できれば、ナスダック(米国店頭株式市場)への上場も決して夢ではない。
パートナーが重要
ここで、米国で成功するために日本人起業家が満たすべき五つの絶対条件について紹介したい。
(1) あらゆる機会をとらえて、英語力や交渉術、取引のポイントを身に着ける。ただし、根本的に英語力のない人の場合、バイリンガルを身近に置き、コミュニケーションや交渉は、任せる。
(2) 自分の短所を補ってくれるパートナー(できればアメリカ人)と組む。今回はワンダーさんがその人。
(3) 継続的な収入の見込みが立つまで、経費はできるだけ抑えること。マイクロソフトのビル・ゲイツ氏をはじめほとんどの成功者が自宅(特にガレージ)で事業を始めている。世間体を気にしたり見えを張る必要はまったくない。むしろ、一流のエンジェルやベンチャーキャピタリストは、起業家がどれだけ経費節減に努力しているかという点を、資質の一面として重視する。
(4) マーケティング力・営業力を重視していること。技術や製品(商品)、サービスの内容も大事だが、売ることのほうがより重要だ。理由は簡単だ。どんなすばらしい技術や製品でも、売れなければ商売にならないからだ。米国では、すぐに売れるものでなければ、プロの投資家から評価されない。秋田さんは、ワンダーさんと組んでそれが嫌というほどわかったという。
(5) 米国での起業において、日本以上に問われるのが経営者の人柄だ。個人主義が当たり前の米国では、各社員の力をどれだけ引き出せるかが成功のカギとなる。そのためには、パートナーや社員を信頼して仕事を任せる、失敗の責任は自分で取るという人格、度量が求められる。秋田さんに有能なワンダーさんがついてきたのも、秋田さんの人格に引かれたからだとワンダーさんは言う。
米国での起業を考えるならば、以上の条件をぜひ参考にしてほしい。
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