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株式会社ジェイ・シー・アイ関連パブリシティ一覧
2000年10月7日
週刊東洋経済 「21世紀の会社組織1、日本的取締役制度の限界」
社外取締役と執行役員の導入を急げ
講師 浜口直太JCI代表取締役社長
浜口直太(はまぐち なおた)
KPMGピートマーウィック、プライスウォーターハウスを経て92年、米国で経営コンサルティング会社設立。
97年、東京に国際ビジネス・経営コンサルティング会社「日本コンサルティング・インターナショナル」設立、
2000年4月に現社名ジェイ・シー・アイ(JCI)に変更。テキサス州立大学経営大学院でMBA取得。
要点
◆日本的な取締役制度は企業収益低迷の原因でもあった
◆望ましいのは社外取締役制度と執行役員制度の採用だ
◆社外取締役が客観的視点から経営を正しい方向へ導く
A社は流通業界を代表するような大企業だが、ここ数年売り上げ、収益性、市場占有率など経営のバロメーターの
どれを取っても伸び悩みを顕著に示している。同社の伸び悩みの根本的な問題点は、取締役会が機能して
いないことから、会社にとって最適な意思決定が下されていないことにあると私は見ている。
形骸化した取締役会
今、日本の中堅・大手企業の中で、取締役(会)が機能している会社は、ごく一握りではないだろうか。
なぜ、日本的取締役(会)制度は機能しないのであろうか。そこで、現在A社をはじめ日本に存在する
取締役(会)の問題点を次に指摘する。
@取締役は株主を代表しなければならないが、日本のほとんどのケースでは、役員(副社長、専務、常務など)、
つまり経営陣でもあるため、株主の立場では行動できていない。
A現状では既存の取締役に対する受けのよい人が通常取締役として選ばれることから、必ずしも実力、
会社への貢献度、資質で取締役が選ばれているとは言えない。
B取締役会では、社長や中核の取締役に意見を述べたり反対すると、解任されるおそれがあるため、できるだけ
議論をしない取締役が多い。
C多くの企業では、取締役が多すぎるため、取締役一人一人の意見が反映できない状況にあり、取締役会
は形式化し、意思決定機関ではなくなっている。
D取締役会で議論されることもなく、事前の根回しで決められていることが多いため、取締役会はほとんど
名目化している。
E取締役が社長やトップマネジメントのほうを向いて行動しているため、現場からの声や正確な状況が
取締役会レベルで把握されることはまずない。
日米間で経営コンサルティングに携わっていると、日本的取締役(会)制度の問題点がどれほどバブル経済崩壊後の
会社経営の足を引っ張ってきたかが鮮明に分かる。もし、現状の取締役(会)制度を続けていると、
山一証券、日本長期信用銀行、日本債券信用銀行のような会社はまだまだでてくるだろう。
長期的な時価総額主義
それでは、そのような問題をどうしたら解決できるのであろうか。私は、ソニー、ソフトバンク、オリックスのように
米国式取締役会制度ならびに執行役員制度を導入することが現状では最適だと思っている。もちろん、
日米のビジネス慣習や環境が違うことから、米国式をそっくりそのまま真似をして導入した場合、機能
しない可能性は大きい。
日本の風土ならびに各社の事情に合わせて段階的に導入することが必要であろう。ただ、大事なことは今やることだ。
激動期の今やらなければ、21世紀に入ってから行っても、効果は薄れる。
今まで日本企業は株式の持ち合いなどで実質株主不在の中で「株式会社」の経営を行ってきた。
そのため、欧米の企業に比べ極めて収益力が低く、「株式会社」として極端にバランスが悪かった。
そのツケが今来ている。
今伸びている企業を見てみると、株主利益を重視した「時価総額主義経営」を行っているところが多いといえる。
「時価総額主義経営」は行き過ぎると、単に高い株価がつくことを目的にした短期的なマネーゲームに走り
やすいマイナス面もある。若手起業家によるインターネットベンチャーは、ほとんどがその範疇に入る。
しかし、長期的な「時価総額主義経営」は今の日本の企業に最も必要な経営手法ではないだろうか。
なぜなら、本当に企業として結果を出し実力を維持し続けなければ、長期(10年以上)にわたって高い株価を
維持することは不可能だからだ。株価はその企業に対する株主の期待値であるから、長期間株価を上昇させる
ということは、長期間絶えず株主の期待にこたえるのみならず、さらに期待させる事業展開を計画し成功させ
続けなければならない。
社外取締役が導く経営
これを実現するカギは、従業員と顧客重視の経営をすることだ。つまり「時価総額主義経営」といっても、
最初から株主を満足させることが目的ではなく、従業員や顧客を満足させる努力の結果、リターンとして
株主に戻ってくる。米国の優良企業であるゼネラル・エレクトリック(GE)、マイクロソフト、インテル、
ウォルマートなどを見ていただければ、長期的「時価総額主義経営」のすごさがよく分かる。
残念ながら日本企業で本当の「時価総額主義経営」を実践しているところは少ない。1980年代後半から
90年代前半において、ほとんどの米国企業は間違った「時価総額主義経営」をしていた。従業員や顧客のことを
忘れ、四半期ごとに発表になる業績(利益)ばかりに気を取られ、短期的な「時価総額主義経営」に走っていたのだ。
それも米国経済を長期的に苦しませる一要因になった。そのとき、最も強力に長期的な「時価総額主義経営」の導入に動いたのが、
各企業の社外(非常勤)取締役だった。彼らは直接企業のオフィサー(役員)として雇われていないので、
企業経営を長期的かつ客観的に分析し、当時の経営陣に取締役会などを通じて指摘し、経営方針の方向転換を
させたのだった。
つまり長期的株主利益を追求させるため、トップマネジメントの注目を従業員や顧客に向けさせた。これは、
当時、社外(非常勤)取締役をしていた私の知人コンサルタントたちがいつも誇らしげに語ってくれることだ。
私はこの改革が起こったのは、このとき米国で外部プロフェッショナル主導による取締役(会)制度が
本格的に機能し始めたためだと見ている。つまり、日本でいうところの社長、副社長、専務などは、あくまでも
日々の企業経営を実行する部隊であり、彼らを客観的・長期的観点から正しい方向に誘導させるのが米国における
取締役(会)の使命となった。
残念ながら日本では、まだそのような客観的・長期的な立場で企業経営の方向修正を迫れる取締役は多くない。
彼らは取締役であっても会社に雇われている限りサラリーマン的発想から抜け切れない。
したがって、日本も社外(非常勤)取締役制度と会社に雇われているトップマネジメントで構成される
執行役員制度を導入すべきであろう。今日本でも執行役員制度を導入しているところの共通点は、「トップマネジメントと
現場社員との緊密なコミュニケーションによるスピード経営」だ。
これまでコンサルタントとして、さまざまな企業を観察してきたが、社外(非常勤)取締役制度ならびに
執行役員制度を採用しているところは、企業として勢いがあり、将来の大きな成長を予感させる魅力とパワーが
ある。そのような企業では、若手や女性社員が強力な戦力となっている。
たかが社外(非常勤)取締役制度、執行役員制度だ。だが、その効果の大きさは真剣に導入したところで
なければ分からない。それが、ソニーであり、ソフトバンクだ。21世紀の生き残りをかけて、
腐った現在の取締役(会)制度を廃止し、欧米式社外(非常勤)取締役制度ならびに執行役員制度の一日も
早い導入をお勧めする。
急成長した米国のナスダック(米店頭株式市場)が株式公開基準に2人以上の社外(非常勤)
取締役の就任を入れている意義は大きい。
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