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アメリカでベンチャーに挑戦 - 成功の6カ条
Point 3:マーケティング力が勝負の分れ目
大変進んだ画期的な技術、製品、システム、またはサービスを考案したため、それらを事業化させて市場に紹介すれば、必ず大成功できると思い込んでいる「発明者型起業家」からよく相談を受ける。
その場合、残念ながら十中八九事業化しても成功しない。
理由はまず、その技術、製品、システム、またはサービスがあまりにも進み過ぎていて、市場つまり利用者にとっては使いにくいので敬遠されることが一つ。また、事業化させても利用者の経済的負担が、それらを利用する恩恵よりも大き過ぎて、無理してその進んだものを使うまでには至らないのがもう一つの理由だ。このような「発明者型起業家」の場合、自分が考案したものは素晴らしいので、売れることは間違いないと信じている。
「発明者型起業家」で多いミスは、革新的な面ばかり狙い過ぎて、業界の既存の基準や規格を軽視することだ。一度できた基準や規格に全ての業者が合わせるので、しばらく変らない。変化の激しいコンピュータ業界ですら、基準や規格はなかなか変らない。
ある日系ベンチャー企業のコンピュータ・メーカーは、素晴らしく進んだ技術開発に成功したため、第二のコンパック社になれると自信満々だった。同社は大量生産しかかっていたが、まず業界の製造規格に受け入れられなければ、作ってもそれほど売れないと私は判断し、同社社長に忠告申しあげた。そして、同社長にすぐに業界の規格委員会委員長と接触し、その可能性を探ることを提案させていただいた。社長はその通り、同社新技術の業界規格としての要請をお願いするために、規格委員会委員長と面談した。その時社長は進んだ技術だけでは、ビジネスは成功できないことを初めて思い知らされた。「私たち(委員会)は技術力では劣るが、貴社の製品より安い全く違う技術を、業界基準と採用することを一週間前に全会一致をもって決めました。ですから、今となっては貴社の技術を業界基準として認めるわけにはいきません。貴社の技術は、現在の市場で使われているのと比べるとあまりに異なり、かつ進み過ぎていて、万が一、業界基準として認められても、業界つまり利用者がついていけず混乱を招きます。」と同委員長の言葉は冷たかった。その6カ月後に、同社は売上がほとんどないことから、倒産した。
アメリカ人は、日本人の場合と違い、マーケティングを学ぶチャンスが多いことから、その重要性を理解している。日米を比較すると、「発明者型起業家」は日本人に多い。文化の違いも手伝って、アメリカ人は専門家に頼ることにあまり抵抗がないようだが、日本人はできるだけ自分ですべて管理運営しようとする。この文化の違いが、新事業を興す際に日本人には不利に働き、場合によっては事業の命取りになる。特に米国で新事業を興す時は、ベテランの各分野の専門家を導入し、起業家は経営面全般、その中でも特に自社のマーケティング力をつけることに専念することをお勧めする。つまり、良い技術、製品、システム、またサービスがあるから市場で売るのではなく、市場で受け入れられ売れるもの、取りも直さず市場が必要としている技術、製品、システム、サービスを徹底的な調査を通して把握し、開発していくがベンチャービジネス成功の鍵となる。
これを「市場中心型新事業開発法」と私は名づけ、「発明者型起業家」が相談に来られる度に、なぜ「技術、製品、システム、またはサービス中心型新事業開発法」では失敗しやすいかを徹底的に説明する。説明しても最後まで分かってもらえないことも度々ある。そういう人は、自分が苦労して生み出したものを、そのまま市場で販売してみたいという願望から離れられない。「自分はこの業界を知りつくしているのでプロとしての感が働き、そのままで絶対に売れる自信がある」という強い自負心を持っている。市場の変化が遅かった昔は、確かに「プロの感」はよく当たっていたようだが、今日のように激動・急変化する市場では、「プロの感」以外にその都度市場動向を把握するために、徹底的な市場調査をしなければ無理になってきている。この分野のコンサルタントという職業柄、私は何度かこの違いをテストしてみたが、その差は大きい。
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