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日本的取締役制度の限界
ピラミッド組織の弊害
超スピード化時代の組織
中間管理職のプロフェッショナル化

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21世紀の会社組織<4>
中間管理職のプロフェッショナル化
「甘え」の構造廃し実力主義の組織へ

今回のポイント

  1. 日本企業の中間管理職は最大の固定費となっている
  2. 解決するには管理職のプロフェッショナル化が最適だ
  3. 年齢、性別、学歴も関係ない実績がすべての世界となる

かなりの日本企業,特に大・中堅企業は、年々増えている赤字で悩んでいる。不景気で売り上げが減り続けている以上,リストラによるコスト削減以外に生き残る道はないのが現実だ。そのため緊急の課題になっているのが、会社の業績に貢献していないにもかかわらず、最大の固定費となってしまっている中間管理職をどうするかだ。

 現在の中間管理職は「終身雇用」「年功序列」が機能していた高度経済成長期末に入社してきた人々だ。さまざまな部署や職務をたらい回しにされても、会社に命令されたことだけやっていれば、一定の収入・地位が確保され、定年まで安泰に会社にいられると思わされてきた人たちだ。いわば「20世紀型日本的会社人間」であり、ある意味で時代の大きな変化による犠牲者でもあろう。

 しかし現実には、企業としても生きるか死ぬかの瀬戸際であることから、厳しい決断ではあるが従来型中間管理職の立場にいる人々に辞めてもらう以外、選択の余地は残されていないというのが、大多数の認識だろう。私は、これを解決するには、管理職のプロフェッショナル化が最適だと考える。

固定費化した管理職

 プロフェッショナルの定義はさまざまだが、ポイントとしていえることは、出した成果によって報酬や地位が決まる、ということだ。どんなに経験や知識があろうと、また何年会社で働いてきたとしても、成果の出せないプロフェッショナルは、会社には残れない。まさにプロ野球やプロサッカーの世界と同じだ。

 ビジネスの世界が食うか食われるかの世界であるにもかかわらず、従来の日本的中間管理職の存在は、やりすぎず、やらなすぎないという「甘え」の構造になっており、矛盾に満ちている。その矛盾が今国際的に問われている。

 また、中間管理職の存在は、超スピード化、グローバル化したビジネス環境において、大きな弊害となっている。中間管理層という壁より、現場とトップマネジメント間の情報伝達やコミュニケーションを著しく遅らせているからだ。そのため、トップマネジメントの意思決定や現場での業務遂行がスピーディーかつタイムリーに行うことが難しい。

 先日、ここ数年間経営不振であえいでいる大手製造業D社の本部長・部長会議に出席し、愕然とした。出席している6人の部長からは、会社をよくするための前向きな意見はほとんど出ない。出てきたのは、いかに自分たちの立場を守るために、何もせず現状を維持していくかの方策だった。まさに彼らは、会社への貢献性を持たない固定費に成り下がっていた。

 D社の場合、さらに問題になっているのは、「従来型」を見ていただくと分かるが、中間管理職が社長・社内取締役と一般社員の間を阻む厚い壁になっていることだ。したがって、現場の第一線にいる社員からの重要な情報やコミュニケーションが、トップに正確かつタイムリーに入ってきていないのが実態だ。

 私のコンサルティング経験から、これはD社特有の問題ではないといえる。かなりの大・中堅企業が今日陥っている根本的問題である。

 何でも大抵作れば売れる、始めればビジネスになった高度経済成長期では、社員が増えれば増えるほど、すなわち会社の規模が大きくなればなるほど業績がよくなった。市場占有率や売上至上主義が企業を評価するうえで最も重要とされていたからだ。

 ただ、利益は無視されていたわけではなく、規模が大きくなれば薄利でもかまわないという風潮が経営者の間ではあった。当時、市場占有率を高めたり、売り上げを急増できれば、ある程度の利益は確保できた。これが高度経済成長期に定着した間違った経営観念だ。

 図に示したように「従来型」の社内組織は、この間違った経営観念の下、長年運営させてきたものであるから、ベンチャー企業の参入や消費者行動の大きな変化から、売り上げも市場占有率も減り続けている現状では、全く機能しなくなっている。特に厚い中間管理職層の存在が、顧客・取引先への正確かつスピーディーな対応を難しくしている。

 21世紀に成長できる企業は、業種は問わず、会社組織をプロフェッショナル化できたところだと思う。特に貢献度の低い固定費化している中間管理職の人々を、プロのビジネスパーソンにできるかどうかで、その会社の生死が決まる。

組織革新ための実践計画

  図で説明すると、「従来型」社内組織は、上から社長、社内取締役、上級管理職、中級管理職、社員の順で、明確なピラミッド組織ができている。「21世紀型」の社内組織は、プロフェッショナル化されたもの、つまり全員がプロフェッショナルを目指すものだ。例えば、社長は「プロフェッショナル経営者」としてのCEO(最高経営責任者)に、社内取締役は「プロフェッショナル執行役員」としてのCOO(最高運営責任者)、CFO(最高財務責任者)、CTO(最高技術責任者)、CIO(最高情報責任者)、CAO(最高管理責任者)、CSO(最高戦略責任者)などになる。私は彼らプロの経営陣を総称して、「プロフェッショナル・トップマネジメント」と呼んでいる。

 また、中間管理職という曖昧な職務をなくす。元を正せば上級であろうと中級であろうと皆社員であるから、「プロフェッショナル社員」として、その中で、指導力、技術力、経験の深さ、知識量、国際性、スピード、人間力、過去の実績など総合的に判断して、上級プロフェッショナル、中級プロフェッショナル、初級プロフェッショナルに分ける。図でいうと台形の部分になる。「従来型」に比べるとプロの世界ということもあり、年齢、性別、学歴、出身校などは関係なく、実績がすべてのプロとしての厳しい世界となる。だから、グローバルかつスピードの激しい戦いとなる21世紀の舞台を考えると、このようにトップから末端の社員までがプロフェッショナルとして、実力を問われ続けなければ、勝ち組にはなれないであろう。「社員一人一人が実力をつける努力を怠って、どうして会社としての実力がつくだろうか?」との論理だ。

(1)社長直属の「社内プロフェッショナル化委員会」(仮称)を社内につくり、各層のプロフェッショナル化の方法・具体案を検討・実行させる(委員には、社長、取締役、上級管理者、中級管理者、一般社員の各層から選び、皆の意見を反映させる)。

(2)社内で勉強会、研究会、セミナー、研修会、スクール的なプログラム(社内プロフェッショナル・スクール)を定期的に行い、プロフェッショナルになるために必要なことを全員で学び実践してもらう。

(3)社外の研修、セミナー、学校(ビジネススクールなどプロフェッショナル・スクール、語学学校、専門学校など)に参加することを奨励する。

(4)資格や学位取得を社内で奨励する(取得した場合、ボーナスや昇給も考える)

(5)目標管理制度(MBO)、年俸制度、契約社員制度など業績を重視するシステムを導入する。

(6)専門をもつよう奨励する。

 実はこれらのほとんどは、米国の多くの会計事務所や弁護士事務所などのプロフェッショナル・ファームや急成長している会社では、すでに実践されていることなのである。

     
  
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