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アメリカで起業するメリット・デメリット
渡米前にやるべき事
アメリカで成功できる起業家とは
成功のカギとなる専門家、パートナー
アメリカ法人の種類と作り方
米国式ビジネスプランの作り方と資金調達法
アメリカ式経営・販売戦略
アメリカで事業に失敗したときの撤退法

   
実践講座 アメリカで会社を起こす!
渡米前にやるべきこと

■“対戦者”アメリカを知り英語を徹底的に習得する

今回は、アメリカで起業するに当たって、渡米前にやっておくべきことを五点紹介したい。

まず第一に当然ながらアメリカのことをよく勉強し、知ること。宮本武蔵が連戦連勝できた理由の一つは、一人ひとりの対戦者を徹底的に研究したためといわれる。同じことがアメリカでの起業についてもいえる。この場合、対戦相手はアメリカと思えばいい。

私の場合、起業する前にアメリカに関する日本語・英語で書かれた本を少なくとも2000冊は読んだ。また、アメリカに関する新聞や雑誌の記事は片っ端から読んでいたので、アメリカ社会の基本的な構造と現状、ビジネス環境、アメリカ人の価値観など、知識としてだが完全に理解していた。そのため大事な意思決定のときに、それらの知識がよみがえり、日本的な勘違いや判断を避けることができた。例えば、日本ならどう転んでも交渉の余地のない提案に対しても、アメリカでは「すべてが交渉次第」と頭に叩き込まれていたので、交渉した。そして、ほとんどの場合、私の言い分が通る。

二番目に英語の徹底的な習得が挙げられる。ことアメリカでビジネスを志すのであれば、最も大事な能力はコミュニケーション力だ。その基礎を成すのが英語力である。英語もろくに使えないのに起業しようというのは、泳ぎ方を知らないでいきなり大海に出るようなものだ。奇跡でも起きないかぎり、おぼれ死んでしまう。英語力をつけるには、まず留学するか、アメリカに派遣してもらえる会社に就職して駐在員生活から始めることをお勧めする。アメリカで起業しながら英語を学ぼうとする日本人に最近よく出会うが、こういう人は例外なく失敗する。理想を言えば、アメリカのビジネススクールに留学するといい。私自身の経験からいっても、英語力とビジネスについての知識を習得するのに最も効率がいい。そんなお金も時間もない場合は、英語ができ、アメリカを熟知した日本人と組み起業する方法がある。これはまさにアメリカ的起業法で、経験や知識も足りないのにすべて一人でやろうとするのが典型的な日本人起業家だが、アメリカ人の場合、専門外は、その分野に強いパートナーを探し、お互いの欠けた部分を補い、「合理的」かつ「効率的」に創業する。

第三に専門分野の勉強を徹底的にやっておくことだ。私の場合、高校三年生の夏に経営コンサルタントになることを決意した。どうせやるなら会社組織にして国際的にやろうと思い、日本の大学で経営学を勉強した後、さらにアメリカのビジネススクールで助手として働きながら理論とケーススタディを、そして会計事務所で実務を学んだうえでアメリカで起業した。高校三年生のときから起業するまでの間、日本語と英語で出版されている経営コンサルティングに関する本は、ほとんどすべて読んだと思う。同業他社に「専門能力では負けないこと」が私が定義する「アメリカで生き延びる起業家の最低条件」だからだ。今でも毎月時間を見つけては日米の書店に行き、その種の新刊が出ればすぐに買って読む。アメリカでは、起業するのも簡単だが、倒産するのもあっけないほど簡単だ。競争が激しく、実力だけがものをいう。ベンチャーキャピタルやエンジェルから出資を受けた場合はなおさら急成長できなければ、即見放され自滅していく。特にアメリカの場合は起業家、直ちに同業者との激しい競争に巻き込まれ、専門力の勝負となる。覚悟してほしい。


■大事な“ビザ取得戦略”

四番目はアメリカでのビジネスを熟知した弁護士、会計士、コンサルタントなどの日本人専門家に、渡米予定の一年以上前に相談すること。それぞれの状況と目標に応じて、具体的に準備・解決しなければならないことは多い。私の場合は、長年アメリカで活躍していた日本人コンサルタントが来日した際に相談した。将来、経営コンサルティング会社をアメリカで起こしたいと話したところ、まず日本で簿記、原価計算、財務管理、日本的経営、米国的経営の基礎をみっちり勉強し、それらを英語でアメリカ人に講義できるようになるまで渡米を待つようアドバイスを受けた。その勉強に最低二年はかかると彼には言われたが、私は一年間必死で勉強をして何とかそのレベルまで到達し、彼から渡米の了解を得た。おかげで、アメリカの会計事務所ですぐにプロフェッショナルとして働けただけでなく、ビジネススクールで助手として講義を担当する機会を得て、さらに専門力、英語力を高めることができた。彼のアドバイスには今でも感謝している。よくある間違いは、人づてに聞いた不正確な情報をもとに大事な決断をし、渡米してしまうケースだ。そういう方々からよく相談を受けるが、同情すると同時にあきれる。なぜ、もっと慎重に調べられなかったのかと!

渡米する前に準備、解決しなければならない最も大事なことの一つとして、「ビザ取得戦略」がある。将来アメリカでどのようにビジネスを展開するかで、ビザの種類も変わりうるし、その長期戦略も違ってくる。形式的な会社をアメリカで起こし、日常業務をアメリカにいる日本人かアメリカ人に任せられるなら、社長が実質日本にいて会社経営ができることもある。その場合ビザはいらない。ただ普通はベンチャー企業の社長は何から何まで自分でやらなければならないので、少なくとも「長期滞在者用ビザ」か「永住権」をとる必要がある。前回少し触れたが、一億円近くをアメリカでの事業に投資して得る「投資家ビザ」を除き、日本人を含めた外国人企業家には永住権や労働ビザが与えられないのが原則だ。その場合、経営者として合法にアメリカにいられるのは次の3つに限られる。(1)アメリカでどこかに勤めながら永住権を取得するか、(2)アメリカ人と結婚して永住権を得るか、もしくは(3)まず日本に親会社を、そしてアメリカの子会社に経営者として出向するために労働ビザをもらう方法だ。どれにも当てはまらない場合は、できるだけ早くビザ・移民法専門弁護士に相談するべきだろう。

最後に五点目は必要な資金の調達だ。最低一年分くらいの生活費プラス事業資金を持っていないと、経済的に行き詰まるのは確実と思ったほうがいい。しっかりした事業計画を立てても、軌道に乗せるのにまず一年はかかる。立ち上がりに二年から三年かかる場合もよくあるので、その点も専門家から客観的なアドバイスを受けることを勧める。次回は一歩進んで、アメリカで成功できる起業家について、分析してみたい。

     
  
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